新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、日本の各大学においても影響を及ぼしています。実際に、日本全国の大学が次々と入学式を中止・延期・変更などの対応をしており、新入学生は通常とは違うスケジュールで大学生活を始めることを余儀なくされています。
今回は、新型コロナウイルスによるコロナショックがどのように日本における大学の入学式に影響を与えたのかについて考察をしていきます。
コロナショックの影響を受ける入学式・授業/講義スケジュール
新型コロナウイルスの感染拡大が本格化し始めた2020年3月では一部の卒業式が中止となりましたが、緊急事態宣言が発令された2020年4月の入学式はほとんどの大学で当初の予定からの変更を余儀なくされています。
文部科学省が2020年2月25日に発表した『学校の卒業式・入学式等の開催に関する考え方について』では、「政府として一律の自粛要請を行うものではないこと」という記述から基本的には各大学の判断によって卒業式の開催判断は委ねられていましたが、3月中旬以降に各大学が相次いで入学式に関する声明を出しており、コロナ対策が急ピッチで進められています。
実際の数字で見ると、2020年3月10日時点で中止を決めた大学は全国760校の4年制大学のうち56校(7.5%)でしたが、2020年4月6日時点では590校(77.6%)と増加しています。やはり、ほとんどの大学が入学式を中止にしています。
また、コロナショックは入学式はもちろんですが、大学における授業・講義スケジュールにも大きな影響をもたらしています。多くの大学がスケジュールを後ろ倒しにしており、授業や講義のオンライン化を早急に進める大学も数多く存在します。
各大学の新型コロナウイルス対策状況
それでは、実際に各大学では入学式に対してどのように対応をしたのでしょうか。ここでは、大学カテゴリごとの対策状況についてまとめてお伝えします。
旧帝国大学の入学式への対応
▽北海道大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月3日
▽東北大学
開催状況:変更→中止
発表時期:2020年3月2日→2020年3月9日
▽東京大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月18日
▽名古屋大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月3日
▽京都大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月10日
▽大阪大学
開催状況:延期
発表時期:2020年3月9日
▽九州大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月17日
旧帝国大学に位置づけられる7校においては、基本的に入学式は開催されていません。東北大学では3月2日時点では延期の発表がなされていましたが、1週間後の9日に中止と発表されています。また、大阪大学では開催の見送りが発表されていますが、今後入学式の開催が延期で行われるかは未定となっています。
早慶上智における入学式への対応
▽早稲田大学
開催状況:中止
発表時期:2020年2月27日
▽慶應義塾大学
開催状況:延期
発表時期:2020年2月28日
▽上智大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月16日
早慶上智における入学式に関する対応で特徴的なのが、中止・延期判断が早いことです。特に、早稲田大学は全校の中で6番目、慶應義塾大学は8番目に決定がなされています。
GMARCHにおける入学式への対応
▽明治大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月12日
▽青山学院大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月6日
▽立教大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月13日
▽中央大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月9日
▽法政大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月6日
▽学習院大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月9日
GMARCHでは軒並み入学式が中止になっており、近い期間で中止発表がなされています。また、全体的に決断が早い傾向にありました。
日東駒専における入学式への対応
▽日本大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月11日
▽東洋大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月6日
▽駒澤大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月12日
▽専修大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月12日
日東駒専においても入学式は全て中止となっています。また、4校の中では東洋大学が約1週間ほど早く中止発表を出しており、他3校はほとんど同じタイミングで中止の発表をアナウンスしていました。
関関同立における入学式への対応
▽関西大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月13日
▽関西学院大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月12日
▽同志社大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月5日
▽立命館大学
開催状況:中止
発表時期:2020年2月27日
関関同立においても入学式はすべて中止となっています。特に、立命館大学が2月27日に中止発表をしており、全国でも6番目のアナウンスとなりました。
産近甲龍における入学式への対応
▽京都産業大学
開催状況:中止
発表時期:2020年2月28日
▽近畿大学
開催状況:中止
発表時期:2020年2月25日
▽甲南大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月11日
▽龍谷大学
開催状況:中止
発表時期:2020年3月11日
産近甲龍の入学式は全て中止となっていますが、京都産業大学と近畿大学が2月時点で中止発表をしているのが特徴的です。特に近畿大学の発表は日本で最も早い中止発表となっています。(2月25日時点で、立命館アジア太平洋大学は中止発表、国際教養大学は延期を発表している)
コロナショックは入学式に今後どのような影響を与えるのか?
今回のコロナショックによって、ほとんどの大学において入学式は中止(もしくは延期)となり、主要大学群においては全て中止・延期となっていました。一部の大学では、入学式という一大イベントを開催出来るように延期案をとっていますが未定が続いています。
また、今回のコロナショックを受けて、大学の入学時期をグローバル基準となる9月に変更すべきという議論も始まっています。加えて、政府主導で各大学における授業・講義のオンライン化も推進されており、今後の大学生活にも変化が生まれていきます。
新型コロナウイルスは経済影響や消費行動だけではなく、大学入学や授業・講義の在り方においても大きく影響を与えていくと考えられます。