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「巣ごもりGW」とは? 新型コロナウイルスはゴールデンウィークに何をもたらしたか

2020.05.30

2020年に猛威をふるう新型コロナウイルス(COVID-19)は多くの業界に多大な影響を及ぼしています。特に、日本においては緊急事態宣言が2020年4月7日に発令され、ゴールデンウイーク(GW)期間を含む、2020年5月6日まで外出の自粛が求められました。

  

「巣ごもりGW」とも喩えられる2020年のゴールデンウィークにおいて、人々はどのように行動したのか。今回は、新型コロナウイルスの影響を大きくうけた「巣ごもりGW」について、考察を深めていきます。

   


「巣ごもりGW」によって失われたゴールデンウィーク需要

日本において2020年2月~3月頃から流行が始まった新型コロナウイルスですが、飲食業や店舗ビジネスや観光・旅行産業は軒並み大きな影響を受けています。

   

例えば、人気レジャー施設である「サンリオピューロランド」は2020年2月下旬から、業界の中でも一早く臨時休館のアナウンスを出していますが、休館期間は売上がなく施設の維持費用だけがかかるという状況になっています。その後、他の人気レジャー施設も軒並み臨時休館となっているなど、観光産業は軒並み影響を受けています。

   

他にも、飲食産業や各種店舗ビジネスも店舗営業について自粛要請を受けるなかで、デリバリーサービスに対応したり、EC活用、飲食業界ではSNSを通じたレシピ公開など、コロナによる自粛下で出来る活動を実施しています。

   

その中でも特に影響を受けるのが、観光・旅行業界です。2020年2月7日時点では約2万2000人が旅行のキャンセル・延期をしたと発表がありましたが、同月28日には約35万6000人にまで広がっており、今回の大型連休においても需要激減が叫ばれています。

   

実際に、JR各社の報告によると、5月2日の午前の新幹線の乗車率は数%が相次ぎ、東海道新幹線においても10~20%程度の乗車率であったと発表しています。また、飛行機需要については、GW期間の予約者数は国内線が前年比で93%減、国際線では98%減と大きく減少しています。

   

「巣ごもりGW」によって生まれた新たなトレンド

今回のゴールデンウィークは「巣ごもりGW」と言われるように、多くの人々が外出を自粛し、自宅でゴールデンウィークを過ごしていました。そこで人々は何をして過ごしていたのでしょうか? ここでは、コロナによる外出自粛期間だからこそ生まれたトレンドについて触れていきます。

   

飲食領域のトレンドは”デリバリー”と”自炊”

まず最初に考えたいのが、飲食領域です。「Uber Eats」をはじめとしたデリバリーサービスのアプリダウンロード数は軒並み急増しており、多くの人々が自宅でデリバリーを活用し始めています。実際に筆者が利用しているカフェでは、コロナによって「Uber Eats」の注文量が150~200%ほど伸びているそうです。

   

また、渋谷区が区民向けにフードデリバリーの割引クーポンを配布するなど、フードデリバリーは今後も活用が増えていくと想定されます。

   

一方で、おうち需要として「自炊」もトレンドになりつつあります。普段は忙しかったり外食を活用するが、この機会に自炊を始めるという人々も一定数いらっしゃいます。実際に、Google Trendsの「レシピ」検索数は2020年3月頃から急速に検索数が増えており、自炊がトレンドになりつつあることが分かります。

   

※直近5年の「レシピ」検索数推移(Google Trendsより)

この傾向によって人々の生活スタイルが変化し、今後も自炊トレンドは続いていくと考えられるのではないでしょうか。

   

余暇時間を楽しむエンタメ領域が拡大

また、多くの余暇時間がある「巣ごもりGW」では、エンタメ需要が伸びています。株式会社クロス・マーケティングの調査報告によると、2020年2月から3月の期間にかけて、有料動画サービスの利用金額が116%増加しており、同期間において視聴時間も111%伸びています。

   

また、スマホゲーム領域も余暇時間の増加からニーズが高まっており、米国の調査会社であるセンサー・タワーの調査によると、2020年2月のアプリゲームのダウンロード数は前年同月比で39%伸びていると発表されています。

   

日本では、人気ゲームシリーズの最新作である「あつまれ どうぶつの森」や「FINAL FANTASY VII REMAKE」が好評となり、ゴールデンウィーク期間中に多くの人々が楽しんだようです。

   

SNSなどを活用。オンラインでの人との繋がり

もう一つ、今回の「巣ごもりGW」で目立ったのがSNS活用でした。若者を中心とした多くの人々がInstagramやTwitterを活用し、オンラインコミュニケーションを取っているのが印象的でした。実際に、米国Facebook社の報告によると、コロナ下においてメッセージ件数が50%以上伸びていると発表されています。

   

また、新しいオンラインコミュニケーション手段として外せないのが「オンライン飲み」です。

   

※直近12ヵ月の「オンライン 飲み」検索数推移(Google Trendsより)

   

2020年3月頃から一部の人々が実施し始めましたが、4月になると多くの人々が当たり前のように「オンライン飲み」を実施し、SNSに投稿したことから社会現象にまでなりつつあります。

   

「オンライン飲み」以外でも、多くのテレビ番組の出演者がリモート参加することが当たり前になりつつある昨今において、オンラインを通じたコミュニケーションが当たり前になり始めているのではないでしょうか。

  

GWの次は夏休み。コロナによって変化を余儀なくされる長期休暇

新型コロナウイルスによって、「巣ごもりGW」を余儀なくされた今回のゴールデンウィークでしたが、外出自粛を求められる今だからこそ生まれたトレンドも存在しました。東京都が「STAY HOME週間」として打ち出したように、多くの人々が自宅で過ごす中で生活トレンドに変化が大きく見られています。

   

そんな状況下において、緊急事態宣言の延長が発表されたことで、このトレンドは今後も継続していくと考えられます。次の大型連休は夏休み期間であり、夏休み期間も外出自粛が少なからず呼びかけられます。ゴールデンウィークまでの外出自粛期間で生まれたトレンドが夏休みにまで差し掛かると、今後の当たり前になる可能性もあります。

   

今後はどのようなトレンドが生まれ、人々の生活様式や行動に変化が起こるのか、注視していくことが求められます。

   

ネクスター 株式会社

人(インフルエンサーやコミュニティ)を媒体とした若年層特化のSNSマーケティング会社。次世代ムーブメントはここから始まります。「 次代を創っていくエンターテインメントカンパニーへ 」

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